【まとめ】球速を計測する方法は?タイプ別解説と性能比較

野球用具

こんにちは、おりゅうです。

野球の球速を測るための道具には、実はいくつかタイプがあることをご存知でしたか?
(私はこんなにたくさんのタイプがあることを知りませんでした、、、)
そこで、それぞれのタイプごとの仕組みや特徴とおすすめの製品についてまとめていきたいと思います。

球速の計測方法まとめ

球速を計測するための方法はいくつかありますが、その仕組みによって大きく3つに分けることができます。

  1. スピードガン
  2. トラッキングシステム
  3. ボールタイプ

それぞれの計測方法について、細かく見ていきましょう。

各計測方法の特徴

スピードガン

球速を測ると聞いて一番初めに思い浮かべるのは、スピードガンではないでしょうか。
野球場のバックネット裏からプロ球団のスカウトがスピードガンを構えている様子はよく見る光景ですね。
一昔前までは、プロ野球の球速表示にもこちらのタイプが用いられていたようでした。

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スピードガンの仕組み

スピードガンは救急車のサイレンでも利用されているドップラー効果を利用して、球速を測ります。
救急車のサイレンに利用されている原理で、近づいてくるときは音が高く聞こえて、遠ざかるにつれて音が低く聞こえるというやつですね。

スピードガンでは、音ではなく電波を発してボールから跳ね返ってきた電波の周波数を用いて球速を算出しています。ボールに向かって発した電波とボールから反射された電波の周波数はドップラー効果によって変化するため、その変化から球速を算出する仕組みになっています。
スピードガンでは、ピッチャーがボールをリリースしてからキャッチャーに到達するまでの間、何度も計測を繰り返すことで、初速と終速を出しているんですね。

また、スピードガンはドップラー効果の原理上、角度により誤差が発生してしまう可能性があるので、できる限り真後ろに設置することが求められています。
「甲子園球場では右ピッチャーのアウトローは球速が出やすい」とか「神宮球場は球速が出やすい」といった話を聞きますが、こういった角度による誤差が影響しているのかもしれませんね。

スピードガンのおすすめ製品

Stalker Pro IIs

MLBやNPB球団のスカウトからNASAの研究開発にまで利用するStalker社のPro IIsモデルは、遅延なくスピード計測ができるのみならず、回転数まで計測することが可能なようです。
その分高価なモデルにはなりますが、性能重視という方には良さそうですね。

Stalker Sport 2

こちらはStalker社の回転数は計測できないモデルで、8~240km/hの球速が最大90mまで離れて計測可能なようです。
また、日本総代理店の関西エスアンドエー社によると、速度表示板とBluetooth接続して計測した速度の表示が可能なので、試合や練習時に設置することでリアルタイムに球速の確認が可能になります。
プロ野球さながらに球速表示をしながら試合をするなんて、夢が広がりますね!

(出典:https://kansai-sa.com/speedgun/スピードガン電光表示板/
Bushnell スピードスターV

Stalker社の製品と比べるとより一般向けのモデルになっていて、16~177㎞/hの球速が最大27mの距離で計測可能なようです。
とはいえ、球審の位置での計測が推奨とのことなので、ブルペン等練習時の利用を想定していると思われます。

YUPITERU BSG-1 Basic

これまでのトリガーを引いている間計測されるいわゆる「ガン」タイプとは異なり、スタートボタンを押して以降、自動的に計測されるタイプになります。
こちらは、約30~200㎞/hの球速が最大30mの距離で計測可能で、バッティングモードも搭載されており、「バットスイング速度」「打球の初速」、打球の「打球の推定飛距離」も計測可能です。
また、本体底面には市販の三脚が取り付け可能なネジ穴がついており、自立して連続計測することが可能なため、個人練習での利用にもピッタリですね!

SSK マルチスピードテスターIV

こちらもYUPITERU社同様に、ボタンで起動して三脚の設置が可能なタイプになります。
30~180km/hの球速が計測可能で、バッティングモードでは、「バットスピード」、「ボールスピード」、「ミート率」の計測が可能で、ピッチング数やスイング数のカウント機能もついています。
ただし、こちらのモデルでは初速/終速の同時計測ができず、モードによってどちらかの計測しかできないようです。

NET PLAYZ マルチスポーツ パーソナルスピードレーダーディテクタガン

こちらもボタンタイプですが、大型ディスプレイ付きのユニークな製品になります。
5~199km/hの球速が計測可能なようで、計測と同時に大型ディスプレイに表示されます。
他製品にはついているような角度による誤差の補正機能の有無は不明ですが、設置場所と用途がマッチすれば面白い製品ですね!

POCKET RADER BALL COACH

最後に、これまでよりも一段とコンパクトでポケットサイズのスピードガンの紹介です。
このポケットレーダーは、縦4.7inch(約12cm)・横3.7inch(約9cm)とコンパクトで持ち運びも容易なスピードガンで、アメリカでは非常に人気のある商品になっています。

大谷翔平投手が試合前にウォーミングアップでプライオボールを投げる際には、水原一平通訳がこのようなタイプのスピードガンを使用して球速を計測しています。

また、現在は日本での販売がないようで、アメリカ版Amazonなどからの購入が必要ですが、上位機種のSMART COACHでは、アプリと連動させることで動画に球速表示を組み合わせることも可能です。

スピードガン製品まとめ

製品計測方法計測可能速度計測可能距離バッティングモード有無メモリー機能
Stalker
Pro IIs
トリガー  (1~150 MPH)(500 feet)(不明)
Stalker
Sport 2
トリガー8~240km/h90m5件
Bushnell
スピードスターV
トリガー6~177㎞/h27m(不明)
YUPITERU
BSG-1 Basic
ボタン約30~200㎞/h30m200件
SSK
マルチスピードテスターIV
ボタン30~180km/h(不明)500件
NET PLAYZ
マルチスポーツ パーソナルスピードレーダーディテクタガン
ボタン5~199km/h(不明)(不明)
POCKET RADER BALL COACHボタン40km/h-209 km/h約36.6m25件

トラッキングシステム

「スピードガン」とは異なり、カメラなどを用いてボールを捕捉することで計測するタイプで、球速のみならず、回転数や回転軸などが計測可能で、製品によってはリリースポイントや各選手のポジションまで記録可能です。スピードガンと比べると高価にはなりますが、計測できる項目が多く選手のパフォーマンスアップに繋がりやすいため、プロ球団での導入も進んでいます。
MLBでは、データ解析に用いられているスタットキャストの一部として2015年に全面導入され、公式サイトで全球データ(2016年からは動画付き)が公開されています。

Statcast Search
Baseball Savant

トラッキングシステムの代表的な製品とその特徴は?

このタイプの代表的な製品として、トラックマン・ラプソード・ホークアイの3つがあります。これらの特徴について、比較していきたいと思います。

トラックマン
(出典:https://www.trackman.com/ja/baseball/Portable-B1

野球界にいち早く広まったのは、デンマークのTRACKMAN社が開発した「トラックマン」になります。もともとは軍事用で、弾道ミサイル迎撃用の「パトリオットミサイル」にも使用されていたドップラーレーダー式弾道追尾システムを使用した製品で、レーダーとカメラを用いてボールを捕捉します。
スポーツ用途では、2000年代にゴルフ用途で広まり始め、野球用途ではMLBで2015年に全面導入、NPBでは2014年の楽天イーグルスを皮切りに2022年段階では10球団で導入されているようです。
MLBやNPBで導入されているのは球場に設置して利用するタイプですが、現在は練習用に持ち運び可能なタイプも販売されています。

持ち運び可能なトラックマンは、2023年WBCの際に大谷翔平選手がバッティング練習時に使用してデータ確認を行なっていたことでも話題になりました。
(下画像のバッティングゲージ後ろに設置されているオレンジ色の機械がトラックマンになります。)

(出典:https://full-count.jp/2023/03/05/post1345124/
ラプソード
(出典:https://ja.rapsodo.com/products/pitching-2-0

シンガポールで創業したRapsodo社(こちらも始めはゴルフ向けだったようです)の製品を「ラプソード」と総称することが多いですが、正式には「PITCHING 2.0」や「HITTING 2.0」といった名称の製品になります。
MLBやNPBの各球団が導入したり、メジャーリーガーのダルビッシュ有投手のように個人で購入して利用する人も増えており、知名度が高くなっている製品ですね。

MLBが活用するようなトラッキングデータを、プロだけでなく高校や大学などのアマチュア球界でも導入できる価格帯の商品を作り出したい。

https://note-rapsodojp.rapsodo.com/n/n5ed5af6e4ac3

ラプソードは、上記のような思いで開発された製品のため、トラックマンとは異なり球場に設置して利用するのではなく、持ち運び可能で主に練習時に利用するという特徴があります。
日本においても、アマチュアレベルで活発にデータ解析を行うようになった火付け役になっていますね。
球場設置型の実証テストも行っているようで、近い将来NPBの球場に設置される日が来るかもしれませんね。

ホークアイ
(出典:https://technology.mlblogs.com/introducing-statcast-2020-hawk-eye-and-google-cloud-a5f5c20321b8

ソニー社のグループ会社であるHawk-Eye Innovations社がもともとはイギリスのクリケット向けに開発した技術で、テニスのチャレンジシステムや2018年のサッカーW杯ロシア大会ではVARに利用されています。
野球界においては、MLBでは2020年からトラックマンに変わり全面導入され、NPBにおいては2020年から神宮球場、2022年からマツダスタジアムで導入されています。
ホークアイは、投球・打球だけではなく、投手・打者・野手を含めた全選手の骨格情報と動作などの解析を行えることが特徴です。
投球・打球情報のみならず選手の動作も併せて解析できるということで、パフォーマンスアップや好不調の波の低減に繋げられそうですね!

ボールタイプ

これまでは投げられたボールの速度を外部から計測するタイプでしたが、最後はボール自体に速度を計測する機能を搭載しているタイプになります。
代表的な製品はSSK社から販売されているテクニカルピッチで、硬式球・軟式M号球・軟式J号球の3種類があります。

(出典:https://technicalpitch.net/

テクニカルピッチの特徴は?

9軸センサー(3軸加速度センサー・3軸地磁気センサー・3軸角速度センサー)内蔵で、スマートフォンアプリと連動することで、球速のみならず、回転数、回転軸の動きや腕の振りなどが計測できます。
ラプソードなどと比較すると安価な商品にはなりますが、回転数や回転軸、腕の振りまで計測できるのは嬉しいですね。
注意点としては、センサーが壊れる可能性があるので壁当てには使用できない点、電池は充電式ではなく内蔵式のため、約10,000球で寿命が来ることです。

いかがでしたか?皆さんも自分に合う道具を見つけて、より楽しい野球ライフを送ってください!

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