木製バットの規則と素材の種類は?使用可能なバットや素材ごとの特徴・おすすめのバット

野球用具

現在では、プロ野球や大学・社会人野球で利用されている木製バットですが、その素材にはいろいろな種類の木材が利用されており、試合で使用するためのルールもあることを知っていましたか?
今回は木製バットについてまとめていきたいと思います。
また、おすすめの日本のバットメーカーやおすすめの木製バット・MLBで人気のバットメーカーについては以下の記事で紹介していますので、こちらも併せて参考にしてください!

木製バットの規則

木製バットのサイズ

(出典:https://yanasebat.com/woodbatruleinjapan/

木製バットの長さ・太さについては、公認野球規則で定められており、プロ野球・大学野球・社会人野球共通で長さ:106.7cm以下太さ:6.6cm以下である必要があります。
ちなみに、金属バットの場合は最大直径:67mm未満、質量:900g以上となっており、高校野球で金属バットを使用する場合は、こちらの規則に従う必要があります。

バットはなめらかな円い棒であり、太さはその最も太い部分の直径が2.61インチ(6.6cm)以下、長さは42インチ(106.7cm)以下であることが必要である。

引用元:公認野球規則:3.02 バット(a)抜粋

カップ

カップバット(先端をえぐったバット)を使用する場合は、そのカップの大きさにも規約があり、深さ:3.2cm以内直径:2.54cm以上・5.1cm以内である必要があります。
こちらも公認野球規則で定められており、プロ野球・大学野球・社会人野球で共通です。

バットの先端をえぐるときには、深さ1¼インチ(3.2cm)以内、直径1インチ以上2インチ(5.1cm)以内で、しかもそのくぼみの断面は、椀状にカーブしていなければならない。

引用元:公認野球規則:3.02 バット(b)抜粋

使用可能な素材

公認野球規則上では、バットの素材は原則として1本の木で作られるべきとなっています。ただし、プロ野球の場合はコミッショナー、アマチュア野球の場合は各連盟が公認すれば木や竹の接合バットの使用が可能となっています。

バットは1本の木材で作られるべきである。
【注1】我が国のプロ野球では、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットは、コミッショナーの許可があるまで使用できない。
【注2】アマチュア野球では、各連盟が公認すれば、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットの使用を認める。ただし、接合バットについては、バット内部を加工したものは認めない。

引用元:公認野球規則:3.02 バット(a)抜粋

続いて各連盟の規則を見ていきます。

プロ野球の規則

プロ野球に関しては、コミッショナーからの許可が下りて使用している選手の情報を見つけることができず、試合での接合バットの使用は現時点では許可されていないものと思われます。
また、プロ野球で使用するバットについては、NPB公認バットメーカーが製作し、公認ロゴが付けられている必要があります。

NPBマーク
(出典:https://yanasebat.com/woodbatruleinjapan/

大学野球の規則

大学野球の場合は、木や竹の接合バットの使用は認められていません
ただし、全日本大学野球選手権大会・明治神宮野球大会に出場することができない 2 部以下の下部リーグの試合では、木や竹の接合バットの使用が認められています

木片の接合バット、竹の接合バット及び圧縮バットの使用は認めない。

引用元:大学野球の用具ならびにマナーに関する規則 1.バットに関する規定 (1)素材 ③

当初の予定通り、全日本大学野球選手権大会および明治神宮野球大会に出場することができない 2 部以下の下部リーグの試合においては、平成 26 年度以降も BFJ および NPB マークが押印されていないバットや、木片の接合バット、竹の接合バットの使用を認める。

引用元:大学野球の用具ならびにマナーに関する規則 1.バットに関する規定 (1)素材 バットに関する規定について(平成 26 年 3 月 4 日通達) ※2

また、大学野球では、全日本野球協会(BFJ)公認バット商標として登録されたメーカーによって製作され、公認ロゴが付けられている必要があります。

BFJマーク
(出典:https://yanasebat.com/woodbatruleinjapan/

全日本野球協会アマチュア野球規則委員会と全日本バット工業会との合意に基づくバットでなければならない。
※全日本野球協会アマチュア野球規則委員会と全日本バット工業会の合意に基づくバットとは、所定の位置に「BFJ ロゴマーク」が押印されているものである

引用元:大学野球の用具ならびにマナーに関する規則 1.バットに関する規定 (1)素材 ①抜粋

ただし、プロ野球の規定を満たして、NPBマークが付いているバットについては、例外として使用可能です。

前項①のただし書きにもかかわらず、日本プロフェッショナル野球組織により承認を受けているバットについては使用を認める。
※日本プロフェッショナル野球組織により承認を受けているバットとは、所定の位置に「NPB ロゴマーク」が押印されているものである。

引用元:大学野球の用具ならびにマナーに関する規則 1.バットに関する規定 (1)素材 

社会人野球の規則

社会人野球では、全日本バット工業会より公示されているブランドであれば、木や竹の接合バットの使用が認められています
こちらは、大学野球連盟のように「全日本大学野球選手権大会・明治神宮野球大会に出場することができない」といった条件もないため、ルール上は都市対抗野球大会でも竹バットやラミバットのような接合バットでの出場も可能です。

前項1.にもかかわらず木片の接合バット及び竹の接合バットの使用を認める。ただし、全日本バット工業会より公示されているブランドのものでなければならない。

引用元:社会人野球で使用できる木製バットについて 3

また、社会人野球でも大学野球同様に、全日本野球協会(BFJ)公認バット商標として登録されたメーカーによって製作され、公認ロゴが付けられている必要があります。

BFJマーク
(出典:https://yanasebat.com/woodbatruleinjapan/

一般財団法人全日本野球協会アマチュア野球規則委員会と全日本バット工業会との合意に基づくバットでなければならない。
※一般財団法人全日本野球協会アマチュア野球規則委員会と全日本バット工業会の合意に基づくバットとは、所定の位置に「BFJ ロゴマーク」が押印されているものである。

引用元:社会人野球で使用できる木製バットについて 1抜粋

プロ野球の規定を満たして、NPBマークが付いているバットについては、例外として使用可能な点も大学野球同様になります。

前項1.のただし書きにもかかわらず日本プロフェッショナル野球組織により承認を受けているバットについては使用を認める。
※日本プロフェッショナル野球組織により承認を受けているバットとは、所定の位置に「NPB ロゴマーク」が押印されているものである。

引用元:社会人野球で使用できる木製バットについて 2

木製バットの規則まとめ

プロ野球・大学野球・社会人野球で使用できる木製バットの規則について見てきました。まとめると以下表のようになります。

連盟サイズカップ使用可能な素材公認ロゴ
プロ野球長さ:106.7cm以下
太さ:6.6cm以下
深さ:3.2cm以内
直径:2.54cm以上・5.1cm以内
1本の木材NPBマーク
大学野球長さ:106.7cm以下
太さ:6.6cm以下
深さ:3.2cm以内
直径:2.54cm以上・5.1cm以内
1本の木材※BFJマーク
NPBマーク
社会人野球長さ:106.7cm以下
太さ:6.6cm以下
深さ:3.2cm以内
直径:2.54cm以上・5.1cm以内
1本の木材
木・竹の接合バット
BFJマーク
NPBマーク
※一部リーグで木・竹の接合バットの使用可

木製バットに使用される素材

木製バットは、1本の木材から製作されている等の規定を満たせば、試合で使用できることがわかりました。では、実際に使用されている素材にはどのようなものがあるでしょうか?
現在、使用されている主なバットの素材とその特徴について見ていきたいと思います。

アオダモ

アオダモとは?

モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹で、丈夫で管理の手間がかからないため庭木に使われたり、堅くて強く粘りがある特質を生かして、野球のバットやテニスラケット・スキー板といった木製のスポーツ用品の材料としても使用されたりしています。
日本では沖縄を除く北海道から九州まで、山地に広く分布していて、日本国外では朝鮮半島などで自生しています。樹高は多くは5m程度ですが、樹高が約15m、太さが50~60cmに達するものもあり、大きく生育されたアオダモを選別してバットに使用しています。ただし、現在は日本国内の天然アオダモは激減してほとんどなくなり、植樹などの保護活動が行われています。

アオダモバットの特徴

アオダモバットは、「しなり」と表現される弾性が特徴です。アオダモ素材の柔らかさから、打った時のボールがくっつくような感触としなったバットが元に戻る際にヘッドが走ることで、「バットにボールを乗せて運ぶ」感覚を重視するバッターに向いている素材と言えます。
ただし、最近では最高級の北海道産のアオダモが枯渇したことによって中国産の使用へシフトしており、プロ野球選手での利用者も減っている状況です。

インパクトの瞬間にバットがしなる元中日ドラゴンズ平田選手

メイプル

メイプルとは?

ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、サトウカエデ、別名シュガーメイプル、ハードメイプルと呼ばれます。
サトウカエデは樹液からカナダ特産のメイプルシュガーやメイプルシロップが作られており、カナダ国旗のモチーフにもなっています。また、その堅牢性の高さから家具や耐摩耗性が高いことから床材などに利用されています。
北米原産のサトウカエデは、高さは30~40メートルにもなり、日本の楓よりも大きな葉をつける特徴があります。

メイプルバットの特徴

メイプルバットの特徴は、なんといってもその硬さにあります。硬くてしなりが少ないバットのため、アオダモのように「乗せる」よりも「弾く」様なイメージになり、金属バットに近い打感になります。また、打面が凹みにくく、折れづらい耐久性の高いバットという特徴もあります。
元々は後述するホワイトアッシュが最有力だったMLBにおいて、2000年前後にサムバット社のメイプルバットを使用してホームランを量産した頃から注目を集め、現在では日本でもプロ野球選手からアマチュア野球選手まで幅広く人気の高いバット素材になります。

ホワイトアッシュ

ホワイトアッシュとは?

モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹で、別名アメリカトネリコ・アメリカタモとも呼ばれます。
オーク・マホガニー・ウォールナットと並んで世界四大銘木とも呼ばれ、高い耐久性とハッキリとしたきれいな木目から、家具材として人気の木材です。また、適度な堅さと弾力性がある性質があることから、エレキギターの材料や野球のバット・テニスラケット・スキー板・ボート用のオールなどの木製のスポーツ用品の材料としても使用されたりしています。
ホワイトアッシュの産地は別名の通り北米で、樹高24~37m、胸高直径は0.6~1.5mほどの大きさまで生育します。

ホワイトアッシュバットの特徴

ホワイトアッシュバットの特徴はその柔らかさにあります。アオダモと比較すると柔らかさやしなりは劣るものの、その反面アオダモよりは硬く反発力がある点が特徴です。ざっくり、アオダモとメイプルの中間といったイメージですね!
ただし、ホワイトアッシュバットは、打球面が他の素材と比較すると木目に沿って剥がれやすい、という性質もあり、バットとしての耐久性には欠点もあります。
MLBで人気の高いホワイトアッシュバットですが、アオダモ材の枯渇に伴い日本でも使用する選手が増えてきました。イチロー選手も元々アオダモバットを使用していましたが、晩年はホワイトアッシュバットを使用していました。

(出典:https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/03/17/kiji/20190317s00001007149000c.html

バーチ(イエローバーチ)

バーチとは?

カバノキ科カバノキ属属の落葉広葉樹で、日本でも標高の高い地域で見られるシラカンバ(白樺)の仲間になります。
緻密で光沢のある美しい木肌やすり減りにくく、衝撃吸収性が高い点が特徴で、天板や床材として使用されています。
主にアメリカ北東部、五大湖沿岸地方の寒冷地が産地で、生長すると高さ30m・直径1〜1.2mに達します。

バーチバットの特徴

バーチバットの特徴はメイプルバットに近い硬さがあるものの、メイプルバットよりもしなりを感じられる点にあります。イメージとしては、メイプルとホワイトアッシュの中間になり、パワーヒッターに向いているバットと言えます。また、軽い重量設定のバットでも反発力の高いバットを作ることが可能で、近年の軽量バットの人気の高まりに伴い需要が増えています。
MLBで活躍している大谷翔平選手も2021年シーズンからバーチバットを使用しています。

(出典:https://mainichi.jp/articles/20220810/k00/00m/050/155000c)

ダケカンバ

ダケカンバとは?

カバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹で、漢字では「岳樺」と書きます。
ダケカンバの樹皮は容易に燃えるため天然の着火剤として使用されたり、美しい光沢がでることからデスクやタンスなどの家具材として使用されています。
日本では、北海道・本州・四国の亜高山帯で生育し、樹高は10~30m程に達します。

ダケカンババットの特徴

ダケカンババットは現時点では市販されていないものの、国産のダケカンバ材を利用して製作できることから、80%以上を輸入材に頼っている木製バット業界の現状を改善できる可能性のある次世代のバット素材として注目が集まっています。
元北海道日本ハムファイターズの田中賢介選手が引退直前の数試合で使用したり、東京六大学野球連盟の東京大学野球部で試打が始まったという状況ではありますが、バット素材として本格的な利用に向けて検証が進められています。
ダケカンババットは、素材の性質としてはメイプルバットに近く硬いもののメイプルよりはしなりを感じられるとのことで、今後の開発に期待が集まっています。

素材ごとの特徴まとめ

ここまで主なバット素材の特徴について見てきましたが、まとめると以下のような素材の硬さの順になっています。
<硬>
 ・メイプル
 ・バーチ(ダケカンバ)
 ・ホワイトアッシュ
 ・アオダモ
<柔>
バットの素材はバッティングへも大きく影響してくるため、バッティングのスタイルに合わせた素材選びが重要になります。

ちなみに、上図は北海道大学大学院工学研究院と北海道立総合研究機構林産試験場によるプロジェクトで、各素材ごとの曲げひずみの量を計測したものですが、実際に打者が感じる打感と一致していることがわかります。

いかがでしたか?本記事を参考に、自分に合ったバット選びをしていただければと思います!

現在では、プロ野球や大学・社会人野球で利用されている木製バットですが、その素材にはいろいろな種類の木材が利用されており、試合で使用するためのルールもあることを知っていましたか?
今回は木製バットについてまとめていきたいと思います。
また、おすすめの日本のバットメーカーやおすすめの木製バット・MLBで人気のバットメーカーについては以下の記事で紹介していますので、こちらも併せて参考にしてください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました