以前の記事で、木製バットの規則と素材について解説させていただきました。
また、日本国内のバットメーカーとおすすめのバットについても紹介しました。
今回はMLB選手に愛用されているアメリカのバットメーカーとそのバットについて紹介していこうと思います。
まず結論からですが、MLBでの使用されているバットのメーカーごとのシェアはご存じでしょうか?
2022年シーズンのシェアトップ5は以下のようになっています。
- Victus 25.93%
- Marucci 22.59%
- Louisville Slugger 15.93%
- Old Hickory 10.74%
- Chandler 6.30%
(出典:https://www.batdigest.com/mlb-bats/)
上位2メーカーで約48%、上位5メーカーで約75%、全体の3/4を占めていることになります。
そこで、この上位5メーカーについて紹介していこうと思います。
本記事ではバットメーカーについて紹介していますが、こちらの記事ではバッティンググローブメーカーについて紹介していますので、併せて参考にしてください!
Victus(ビクタス)
Victusとは?
2012年にニュージャージー州の小さいガレージで創業され、2021年シーズンまでは長い間MLBのバットシェアNo.2でしたが、2022年シーズンには後述するMarucciを逆転し、MLBシェアNo.1のメーカーとなりました。
Victusにはバットにペイントするデザイナーが在籍しており、オリジナリティのあるバットのデザインでブランドを確立しています。
Victusを使用するMLB選手
Victusを使用する代表的なMLB選手は、フィラデルフィア・フィリーズに所属し、2021年シーズンにシーズンMVP・2022年シーズンにリーグチャンピオンシップシリーズMVP等の数多くのタイトルを獲得しているブライス・ハーパー選手です。
ハーパー選手は固定ではなく、いくつかの種類のバットを使用していますが、2022年シーズンのポストシーズンではVictus社のFT23(NINO23)というモデルを使用していました。
こちらのモデルは型番からも分かるように、サンディエゴパドレスに所属する2021年シーズンに本塁打王を獲得したフェルナンド・タティスJr.選手のシグネチャーモデルになります。
タティスJr.選手のバットは、打面部が太くなっておりトップミドルバランスでパワーヒッター向けのモデルになっています。
また、シカゴホワイトソックスに所属する2019年シーズン首位打者のティム・アンダーソン選手もVictus社のバットを利用しており、細めのグリップで太めの打面部のアベレージヒッター向けのモデルになっています。
Marucci(マルッチ/マルーチ)
Marucciとは?
2003年創業のルイジアナ州を拠点とするメーカーで、2021年シーズンまではMLBでのバットのシェアがNo.1(2022年シーズンはシェアNo.2)のメーカーになります。
(出典:https://www.batdigest.com/mlb-bats/)
Marucci社は2022年シーズンシェアNo.1のVictus社を2017年に買収して傘下に加えており、2022年シーズンでは両ブランドでおよそ半数のシェアを占めています。
(2020年には、Marucciはアメリカの投資会社Compass Diversified Holdingsに買収されています)
Marucciのバットは最高級のメイプル材を使用していることによって、硬くて・弾きが良くて・折れにくい点に特徴があります。
日本では「マルッチ」「マルーチ」と呼ばれ、近年はプロ・アマチュア問わず日本でも人気が高くなってきているメーカーになります。
Marucciを使用するMLB選手
Marucciを使用する代表的なMLB選手は、2022年シーズンにカムバック賞を受賞し、歴代4位の通算703本塁打の成績を残して引退したアルバート・プホルス選手です。
プホルス選手のバットは、トップバランスでパワーヒッター向けのバットになっています。
ニューヨークメッツ所属のフランシスコ・リンドーア選手が使用するモデルは、細めのグリップでトップバランスとなっており、人気のバットとなっています。
また、日本では販売はされていないようですが、ニューヨークヤンキース所属のジャンカルロ・スタントン選手もMarucciのG27という自らのシグネチャーモデルを使用しています。
LOUISVILLE SLUGGER(ルイスビルスラッガー/ルイビルスラッガー)
LOUISVILLE SLUGGERとは?
1884年にケンタッキー州ルイビルで設立。ベーブ・ルース選手などが利用したことにより、1923年にはバット市場でトップシェアまで成長し、創業からこれまでに販売してきたバットの本数は1億本以上、アメリカ野球殿堂入りの野手の80%が同社のバットを使用している、などと言われています。
1980年には、その年の各リーグ・各ポジションで最も打撃が優れていた選手に送られるシルバースラッガー賞の設立も行いました。
また、木製バットのみならず金属バットの人気も高いことから、日本でも有名なブランドになっています。
近年は、マルッチなど他のバットメーカーにシェアを奪われていましたが、若手選手を中心にMLBでの使用選手が増えてきたり、MLB選手のシグネチャーモデルの販売を強化するなど、復調しつつあります。
2015年には「ヒラリック&ブラズビー社」から「ウイルソン・スポーティング・グッズ社」へ7,000万ドルでブランドが売却されたことでも話題になりました。
LOUISVILLE SLUGGERを使用するMLB選手
LOUISVILLE SLUGGERを使用する代表的なMLB選手は、トロントブルージェイズに所属し、2021年シーズンに大谷翔平選手と争い本塁打王を獲得したことで日本でも有名になった、ブラディミール・ゲレーロJr.選手です。
ゲレーロJr.選手は、自らのシグネチャーモデルであるVG27型というモデルを使用しており、トップバランスながらも先端くり抜きタイプになっており、扱いやすいモデルになっています。
ミルウォーキーブリュワーズに所属し、2018年には首位打者・シーズンMVPなどのタイトルを獲得し、2023年WBC日本代表招集の噂で話題となったクリスチャン・イエリッチ選手もLOUISVILLE SLUGGERを使用しています。
イエリッチ選手も自らのシグネチャーモデルであるCY22型というモデルを使用しており、セミトップバランスで太めのグリップ、さらに先端くり抜きと操作性に優れたモデルになっています。
また、LOUISVILLE SLUGGERはこれまでに紹介したメーカーとは違い、日本向けに軟式用の木製バットも積極的に販売しています。
C243型はゲレーロJr.選手が以前使用していたモデル、S318型はイエリッチ選手が以前使用していたモデルになるので、気になる方は使用してみてください!
Old Hickory(オールドヒッコリー)
Old Hickoryとは?
1999年に創業された、テネシー州ナッシュビルの北20マイルに位置するグッドレッツヴィルを拠点とするバットメーカーです。Old Hickoryはメジャーリーガーが使用するバットのみならず、一般ユーザが使用するバットについても手作業での仕上げを行なっている点に特徴があります。
また、ブランド名にもなっている「Hickory」の木を使用したバットも以前は製作されていたようですが、現在では他のバットメーカー同様にメイプルやホワイトアッシュが主なバット素材となっているようです。
Old Hickoryを使用するMLB選手
Old Hickoryを使用する代表的なMLB選手は、ロサンゼルスエンゼルスに所属し、大谷翔平選手とチームメイト、過去3度MVPを獲得して現役最高の選手の一人として有名なマイク・トラウト選手です。
マイクトラウト選手は、MT27型というミドルバランスで全体的にバランスの良い自らのシグネチャーモデルを使用しています。
セントルイスカーディナルスに所属し、2022年シーズンMVPを獲得したポール・ゴールドシュミット選手もOld Hickoryを使用しています。
ゴールドシュミット選手のバットはPG44型というモデルで、細めのグリップ・太めの打面部でパワーヒッター向けのバットになっています。
また、Old Hickoryはアレックス・ロドリゲス選手やケン・グリフィーJr.選手のような引退した名プレーヤーのモデルも現在も販売されています。
Chandler(チャンドラー)
Chandlerとは?
2009年にペンシルバニア州イースト・ノーリトンで創業されたバットメーカーです。これまで見てきた他のメーカーと比べると歴史も浅く、知らない方も多いかもしれませんが、MLBでの人気が徐々に高まっており、他メーカーから変更する選手も多くいます。
また、日本でも2021年よりNPB公認のバットメーカーになっており、実際に使用するプロ野球選手もいます。
Chandlerを使用するMLB選手
Chandlerを使用する代表的なMLB選手は、ニューヨークヤンキースに所属し、2022年シーズンにアメリカン・リーグ記録の62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ選手です。
ジャッジ選手は、ミドルバランスのAJ99型というモデルを使用しています。
また、2022年シーズンまではアシックス社のバットを使用していましたが、2023年シーズンは大谷翔平選手もChandler社のバットを使用しているようです。
ただし、Chandler社のバットはNPB・BFJ公認バットメーカーとして登録されているものの、残念ながら日本での一般販売はされていないようで、Cahndler社の公式HPか、eBay等の輸入サイトから購入する必要があります。
この場合、アメリカから輸入することになるので、NPBマークやBFJマークは付かないバットを購入することになります。
(もし、日本国内購入方法をご存知の方がいましたらぜひ教えてください!)
Chandler社の公式HPから購入する場合は、自分の好きなモデルをベースにオーダーするCUSTOMとストックされているバットを購入するON-DEMANDの2種類があります。
(どちらもアメリカからの発送になり、送料がかかる点に注意が必要です。)
また、もっとお手軽に購入したい、という方にはeBayを利用して購入する、という方法もおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
今回はMLBで人気のバットメーカー5社を紹介させていただきました。
紹介した5社のバットメーカーはNPB・BFJ公認バットメーカーとしても登録されているので、公認マーク付きのバットを購入して日本でも試合で使用することも可能です!
(ただし、チャンドラー社に関してはBFJマーク付きのバットの購入方法が不明です。)
日本で使用できる木製バットのルール・日本のメーカーについて気になる方は以下の記事もご覧ください!
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